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04-03-キウイフルーツを用いた口腔ケアの有用性に関する研究

04-03-キウイフルーツを用いた口腔ケアの有用性に関する研究

全仁会高木病院 1看護部(歯科衛生士),2栄養科,3口腔外科
○金丸真奈美1,根岸恵美子1,日永道子1,仲澤朱実2,村松純子2,櫻井理恵2,鈴木 円3

口腔内には舌苔や剥離上皮,乾燥痰などの汚れが存在するが,その除去には困難を伴うことが少なくない。舌苔を除去する方法としては,舌ブラシなど専用の器具を用いた機械的清掃がほとんどである。

しかし,舌背の疼痛閾値はかなり高いため,刺激に対して鋭敏でなく,また粘膜組織であることから機械的刺激には脆弱で,過度の機械的刺激による損傷の危険が指摘されている。われわれはその汚れがタンパク質からなることに着目し,酵素を用いた化学的清掃の可能性について検討し,プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)の一つであるアクチニジンを含むキウイフルーツを用いた口腔ケアの可能性について研究し,若干の知見を得たので報告する。

基礎実験とし,キウイフルーツと同じくプロテアーゼの一つであるブロメラインを含むパイナップルを用いてタンパク質溶解性の実験を行った。その結果,すりおろしたキウイフルーツが最もその効果が大きいことが示された。また,アクチニジンはキウイフルーツの外果皮や内果皮に豊富に存在し,果心部では少ないため,果心部を避けて使用すべきと思われた。

続いて,舌苔付着の多い患者3例の専門的口腔ケアにすりおろしたキウイフルーツをガーゼに包んで用いたところ,全例で従来法に比べ,遜色なく除去できた。さらに,舌苔以外の口腔内付着物(口蓋の剥離上皮や乾燥痰)の除去にも用いたところ,やはり除去は容易であった。また,副次的な効果として,唾液分泌量が増し,口腔乾燥が軽減した症例もあった。以上のことより,口腔ケアにおけるキウイフルーツ使用の有用性が示唆された。

キウイフルーツは安価で調理もしやすく,食品であるため安全性も高いことから口腔ケアに用いるに足る食材であると思われる。ただし,キウイフルーツは口腔アレルギー症候群を起こすことが知られているため,口腔ケア時に観察を怠らず,もし症状が出たときには直ちに使用を中止することが必要である。

04-04-桐生市歯科医師会が目指す口腔機能向上プログラムの開発・実施についての報告(その1)

04-04-桐生市歯科医師会が目指す口腔機能向上プログラムの開発・実施についての報告(その1)

(社)桐生市歯科医師会 地域医療連携プロジェクト・口腔ケア部門
○中島正光,星野浩之,小林 司,金子浩之,大澤 遵,増山剛義,金子孝和,田中清貴須永 亨,須永 實,塩崎泰雄

 桐生市歯科医師会では,厚生労働省「地域医療再生基金事業」の一環として,平成22年度より4年間受託した“地域医療連携プロジェクト”を企画運用中である。

 本プロジェクトは1)障害者歯科部門,2)口腔ケア部門,3)普及啓発部門,4)総括部門にわけられ,桐生市・みどり市地域の医科,歯科,介護,行政など多くの関連団体と連携を図りながら,地域住民の安心・安全な生活を支援すべく,歯科医師会が二次予防事業に貢献出来る大きな事業になると考えている。

 今回は本プロジェクトの内の口腔ケア部門で企画中の口腔機能向上プログラム「口から健康プログラム」について紹介するとともに,今後の展開を考察する。

 「口から健康プログラム」の目的は,口腔機能が低下しているおそれのある虚弱な高齢者が,要支援・要介護状態とならないよう,口腔機能の低下を早期に改善することで,高齢者の生活機能の維持向上と自己実現を支援し,高齢者が身近な歯科医療機関で速やかに機能改善に取り組めるよう利便性の向上を図ることにある。

 また,本事業は厚生労働省の介護予防事業(地域支援事業)のうち,二次予防事業に特化した事業で,その対象は「要介護,要支援が必要でない65歳以上の地域住民」であり,要支援や要介護になる可能性の高い虚弱な高齢者をターゲットとしている。

 事業内容としては,当会の地域医療連携プロジェクトが実施する口腔機能向上プログラム研修を受講した歯科医院に当該高齢者が個別に通院し,歯科衛生士が中心となり,口腔機能検査や口腔清掃チェック,口腔機能に関する指導等を実施するとともに,高齢者本人が自宅でも主体的,かつ継続的に口腔機能改善に取り組めるよう,口腔機能体操等の指導も行うものである。

 この事業は端緒に付いたばかりであるが,行政や歯科衛生士会との協働作業の中で,プログラムの完成度を上げ,本年度後半からの「口から健康プログラム」の実施を計画している。

 期待する効果としては,1)食べる楽しみを継続することによる生活意欲高揚の持続,2)会話や笑顔がはずみ,社会参加の継続,3)誤嚥性肺炎の予防などがあげられる。当会の今後の活動の見守りとご協力をいただければ幸いである。

04-05-汎用機器を使用したオーラルディアドコキネシスの測定法

04-05-汎用機器を使用したオーラルディアドコキネシスの測定法

(社)桐生市歯科医師会 地域医療連携プロジェクト 口腔ケア部門
○星野浩之,小林 司,金子浩之,大澤 遵,増山剛義,金子孝和,中島正光,田中清貴,   須永 亨,須永 實,塩崎泰雄

口腔機能向上プログラムを実施するためには,口腔機能の客観的な評価は欠かせない。この評価方法の1つとしてオーラルディアドコキネシスが広く用いられている。これは,パ,タ,カの交互反復運動をできるだけ速く行わせて構音の運動速度と規則性を測定し,構音器官の能力を評価するものである。測定法には,ペンで発音回数を紙に打点記録する方法(ペン打ち法)やIC レコーダで録音した後,コンピュータに取り込んで回数をカウントする方法(IC 法)などがある。

しかし,ペン打ち法では発音が速い場合には測定者の打点が追いつかず正確に測定することはできない。また,IC 法は,精度は高いがコンピュータの使用が必要なため,介護の現場で実施することは難しい。この問題を解決するために専用の測定機器が開発され販売されているが,高価なので手軽に入手できるものではない。たとえ専用の測定機器であっても波形の記録ができないため,発声のリズムと発音のバラツキは評価できない。そこで,われわれは手近にある機器を使用してIC 法と同等の精度を持ち,ペン打ち法に近い手軽さでオーラルディアドコキネシスの測定を行う方法を考案したのでその方法を示す。

機器にはApple社製のiPadとアプリケーションソフトウェアGarageBandを使用する。iPad上でGarageBandを起動し,音源にAudio Recorder を選びテンポを240に設定する。被検者に発音させた交互反復運動をiPad に内蔵されているマイクで録音する。録音後,その波形により評価を行う。テンポを240に設定することにより,1小節が1秒間になるので1秒間あたりの平均値を算出するのが容易である。

この方法の利点として以下のように考える。1. ペン打ち法に比べ,測定者の運動能力に関わらず,速い発音もカウントすることができる。2. 波形により発声のリズムと発音のバラツキも評価できる。3.簡便にIC法と同等の測定精度を得られる。4.機材が小型なので介護の現場でも使用が可能である。5.専用の測定機器よりも安価である。6.手軽にデータを保存できるため,口腔機能向上プログラムの効果を経時的に比較できる。

現状では1秒間あたりの発音回数を算出するために,波形を目視でカウントしなければならないが,専用のソフトウェアの開発によりこの問題も解決されるであろう。