02-05 入所型介護施設協力歯科医へのアンケート調査結果について 第1報
(社)桐生市歯科医師会 口腔ケア検討委員会
○飯野隆司,渡邊 潤,下山雅通,阿久津智,鈴木 円,中島正光,三丸 潔,小林 司
,須永 亨,星野浩之,須永 實,塩崎泰雄
目的:近年,口腔ケアと全身疾患との関連が明らかになるとともに,その重要性が広く認識されるようになってきた。桐生市歯科医師会では昨年度,口腔ケア検討委員会を立ち上げた。当会では,これまでも会員が個々に入所型介護施設における口腔ケアに取り組んできた。しかし実際にどのようなケアを行っているかについては,明らかでなかった。そこで,われわれは現状を把握するためにアンケート調査を行った。ここでは調査結果の一部を,第1報として報告する。
方法:桐生市およびみどり市の入所型介護施設で協力医をしている当会会員15名(施設数37)を対象に,当委員会が作成したアンケート調査を平成22年5月に実施した。
結果:施設からの報酬があると答えた会員は1名で,歯科検診を行った場合に検診料として得る報酬であった。残りの14名は無報酬であった。施設で口腔ケアに取り組んでいる会員は4名(15施設),口腔ケアを行っていない会員は11名(22施設)であった。行っていない会員に理由を尋ねたところ,施設が必要としていないという回答がもっとも多く8名であった(複数回答可)。協力医の会員が桐生市歯科医師会に望むことを尋ねた質問には,口腔ケアの研修会の実施と答えた会員が多かった(11名)。
考察:今回のアンケートの結果から,口腔ケアに取り組んでいるのは協力医の1/4以下にとどまっていた。その理由としては,施設が必要としていないためとする回答が多かった。しかし,歯科医師会に対しては口腔ケアの研修会の実施を望んでおり,口腔ケアに対する意欲をもっていることが示されている。今後は,口腔ケアの重要性に対する施設との共通認識を深め,歯科医師と施設職員がともに研修会などを通して知識や技術を高め,経費と人員に関する問題を解決する計画を立て,口腔ケアを実施する施設を増やしていく必要があると考える。桐生市では高齢化率が群馬県一の27%を超えており,みどり市でも10年後には25%を超えると予想される。両市が掲げる高齢者保健福祉計画を実現するためには,市民全体を対象にした口腔ケアのレベルアップが必須であり,桐生市歯科医師会としては,口腔ケア研究会の活動と共に,行政との連携・協働・協調をさらに強化していくことが不可欠と考える。