第1回桐生地区口腔ケア研究会
日時:平成22年2月20日(土)15:00~
場所:プリオパレス桐生
群馬県桐生市堤町3丁目5-23
TEL 0277-47-4122本研究会は日本歯科医師会生涯研修認定,日本歯科衛生士会生涯研修 B リフレッシュコース f 高齢者要介護者歯科保健(3単位)取得単位対象です。詳しくは各団体の担当者へお問い合わせ下さい。
—-《プログラム》—-
話題提供(15:00~15:15)
「イトリゾール®内用液1%の製品紹介」
ヤンセンファーマ株式会社 担当者■開会挨拶(15:20~15:25)■
桐生地区口腔ケア研究会 代表世話人 塩崎泰雄■一般口演(15:25~16:25)■
座長:桐生厚生総合病院 岡田克之
1.高木病院における歯科衛生士による専門的口腔ケアの現状と効果について
全仁会高木病院 看護部 金丸真奈美,他2名
2.イトリゾール内用液を用いた急性偽膜性口腔カンジダ症患者に対する治療
全仁会高木病院 薬剤部 新井栄吉,他4名座長:全仁会高木病院 齋藤義人
3.療養病棟における口腔乾燥に対する取り組み
恵愛堂病院 看護部 高橋みゆき,他6名
4.院外へ向けた口腔ケア講演会への取り組み
桐生厚生総合病院 NST 宇津野こずえ,他15名座長:(社)桐生市歯科医師会 小林 司
5.当施設における口腔ケアの現状と口腔機能維持への取り組み
特別養護老人ホーム サンライズさかいの 向田明梨,他3名
6.桐生地区の誰もが口腔ケアに取り組めるように
NPO法人群馬県歯科衛生士会 原貴美子座長:桐生厚生総合病院 今井正之
7.口腔外科との連携で変わった当院の口腔ケア(療養病棟での事例)
全仁会高木病院 看護部 片山昌枝,他7名■特別講演(16:30~17:55)■
座長:恵愛堂病院 山田 勲
「口腔ケアに必要な口腔領域顎顔面疾患の基礎知識」
明海大学歯学部病態診断治療学講座口腔顎顔面外科学第2分野
坂下英明 教授■閉会挨拶(17:55~18:00)■
(社)桐生市医師会 須永吉信■懇親会■
(研究会終了後,隣接会場にて情報交換会がありますので是非ご参加下さい)共催:桐生地区口腔ケア研究会
ヤンセンファーマ株式会社
ティーアンドケー株式会社
株式会社クリニコ
(社)桐生市医師会
(社)桐生市歯科医師会
NPO法人群馬県歯科衛生士会東毛支部
桐生薬剤師会
(社)群馬県栄養士会桐生支部
Category Archives: 01-第1回研究会の記録
第1回桐生地区口腔ケア研究会
01-01 高木病院における歯科衛生士による専門的口腔ケアの現状と効果について
01-01 高木病院における歯科衛生士による専門的口腔ケアの現状と効果について
全仁会高木病院 看護部(歯科衛生士)1),同 口腔外科2)
○金丸真奈美1),小野恵美子1),鈴木 円2)
平成20年1月21日,当院に口腔外科が開設された。入院や手術を必要とする口腔外科的疾患の治療を中心に診療を行っているが,他科入院患者の口腔内を回診した際,専門的口腔ケアが必要と思われる患者が多数みられたことから,専門的口腔ケアの依頼システムを構築した。
平成21年12月までの1年11ヵ月間に依頼を受けた患者は51人であった。その内訳は男性28人,女性23人,年齢は38~98歳(平均76.2歳)で,療養病棟16人,一般病棟35人(内科系26人,外科系9人)であった。対象者の状態は様々であるが意思の疎通が困難もしくは不可能な患者が43人(84.3%)と多くを占めた。口腔内の状態を評価した後,器質的口腔ケア(歯石除去を含む)と同時に機能的口腔ケアも併せて行った。評価項目は口腔内の疼痛,口臭,口腔内の乾燥,舌苔,潰瘍・びらん,口腔内出血,歯の汚れ,口腔粘膜の汚れ,歯肉の状態,義歯の汚れの10項目とし,歯科衛生士2人で評価して点数化した。
初診時と4週間後の点数を比較した結果,スコア全体の平均は6.8点から3.2点へ改善した。また,初診時に患者の多くで問題となっていた口臭は1.5点から0.2点へ,口腔乾燥は1.6点から0.4点へといずれも有意差をもって著明な改善が認められた。
専門的口腔ケアを行い口臭や乾燥が改善されてきれいになった口腔は,病棟スタッフにおける日々の基本的口腔ケアのみでも管理が容易との評価を受けている。しかし,口腔内の衛生状態が一時的に改善しても日常の口腔ケアが不十分なため,初診時と同様の不潔な口腔内環境に戻ってしまうことも少なくない。そこで,看護師による日々の基本的口腔ケアのレベルアップと,院内全体で口腔ケアの手技を統一することを目的として勉強会を行っている。基本的なブラッシング指導と使用具の選択方法などを説明すると意外にも知られていなかったため,大きな反響があった。また,症例にあわせたケアの仕方も教えて欲しいとの声も聞かれるようになった。口腔ケアは歯科衛生士の力だけでなく,病院全体として考え取り組んでいくことが重要であるため,今後も他のスタッフと協力していきたい。
01-02 イトリゾール内用液を用いた急性偽膜性口腔カンジダ症患者に対する治療
01-02 イトリゾール内用液を用いた急性偽膜性口腔カンジダ症患者に対する治療
全仁会高木病院 薬剤部1), 同 看護部2), 同 内科3), 同 口腔外科4)
○新井栄吉1),小野恵美子2),金丸真奈美2),齋藤義人3),鈴木 円4)
カンジダ属は口腔内の常在性真菌である。その病原性は強くなく,日和見感染微生物と考えられているが,生体防御機能が低下している患者や口腔衛生状態が不良な場合は口腔カンジダ症を発症することもある。口腔カンジダ症は口腔粘膜に白斑,発赤,疼痛などの症状を呈する口腔粘膜疾患であり,①急性偽膜性カンジダ症,②急性萎縮性カンジダ症,③慢性肥厚性カンジダ症,④慢性萎縮性カンジダ症に分類される。その治療は口腔内清掃,義歯の洗浄に加え,抗真菌薬の全身投与が行われることがある。抗真菌薬のひとつであるイトリゾール内用液は経口投与により全身に移行し,血中半減期が長いため1日1回の投与で持続的な効果が期待できる薬剤で,口腔カンジダ症に対する保険適応を有する。イトリゾールカプセルに比べ胃酸の影響を受けないため,安定した吸収率を示すのが特徴である。
急性偽膜性口腔カンジダ症は病変が粘膜に限局していることから抗真菌薬の局所塗布も有効とされている。そこで今回私たちは,本剤がシロップ剤である点に着目し,口腔粘膜に塗布した後,嚥下させる治療を試みた。
対象は当院に入院中で臨床的に急性偽膜性口腔カンジダ症と診断し,真菌学的検査でカンジダ菌が同定された患者3例である。方法は冷蔵庫にて冷やしたイトリゾール内用液200mg(20mL)を1日1回,夕方の口腔ケア終了後,スポンジブラシに含ませ,病変部だけでなく口腔粘膜全体に塗布した後,嚥下可能な患者にはそのまま嚥下させた。投与期間は原則7日間としたが,必要に応じて14日間まで延長をした。その結果,2週間後には全例で病変は消失した。また,副作用により治療を中止した症例や途中で治療を拒否した症例はなかった。その後も口腔ケアを続けることで再発した症例はなかった。今後も症例を増やし,さらなる検討を行う予定である。