03-99 特別講演
外科周術期における口腔ケア ―栄養管理を含めて―原町赤十字病院 第1外科部長
内田信之 先生外科周術期の対応は,NSTの普及とともに大きく変化した。当院外科においては,ここ数年の間に,流動食から始まる漫然とした経口摂取を見直し患者の嗜好を重視した栄養管理,術前経口補水療法,さらに歯科衛生士の指導のもとに術前口腔内アセスメントおよび口腔ケアを開始した。
患者の嗜好を重視した胃大腸手術患者の栄養管理:胃手術においては流動食,大腸手術においては流動食,3分粥を排除し,ラコールを用いている。術前に各種フレーバーを試飲し,好みのフレーバーを選択してもらうことで術後の摂取率は極めて高い。
術前経口補水療法:手技は容易であり,各部署からの評判も概ね良好である。また経口補水療法を行うことで,術後合併症が増加することはなかった。
口腔内アセスメントおよび口腔ケア:歯科衛生士の指導により看護師もアセスメントが徐々に可能となってきた。また口腔内に問題があると,術後合併症が多くなることも判明した。現在では,口腔内の問題のある患者に対して,外科病棟のすべての看護師が口腔ケアを行うことが可能になってきている。
今回の講演では,これらのことを中心に,私たちの経験をふまえて報告する予定である。