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03-06 13年間の在宅服薬管理指導と薬剤師居宅療養管理指導の実状報告

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03-06 13年間の在宅服薬管理指導と薬剤師居宅療養管理指導の実状報告

トモニティ(株) ひまわり薬局
○中里敏子,松井孝史,小島孝一

トモニティ(株)ひまわり薬局は,保険調剤薬局として,在宅服薬管理指導・薬剤師居宅療養管理指導を13年間行っている。今回,桐生地区口腔ケア研究会において多職種の方々へ,その間の薬剤師訪問指導を報告する。また,2010年より地域における他職種連携による在宅医療への大きな支援を受け,日本女性薬剤師会では“在宅薬剤師への道”という通信講座をスタートしフィジカルアセスメント講習も実施している。私は,それ等の講座を受講し長期に在宅医療に関っている薬剤師の一人として地域医療に更なる貢献をしたいと考えている。

03-07 歯に起因した褥瘡性潰瘍について

03-07 歯に起因した褥瘡性潰瘍について

全仁会高木病院 看護部(歯科衛生士)1),同 口腔外科2)
○金丸真奈美1),日永道子1),根岸恵美子1),鈴木 円2)

高齢者や長期入院患者では歯の喪失,義歯の不使用などの咬合状態の変化により,従来は接触しなかった口腔粘膜に歯が当たることがある。歯による慢性的な刺激は時として潰瘍を形成し,疼痛による摂食量の低下や二次感染などをきたす恐れもあるが,意思疎通困難な患者では潰瘍の存在に気付かずに経過することもまれではない。今回われわれは,歯に起因した褥瘡性潰瘍の3例についてその概要を報告する。

症例1:73歳,男性。脳梗塞にて入院中。上下顎は無歯顎で当初は総義歯で摂食していたが,次第に使用しなくなった。頬部の疼痛を訴え,摂食量が低下したため,口腔外科に診察依頼がなされた。左側上顎智歯が半埋伏状態で存在し,歯に相対する頬粘膜に潰瘍の形成を認めた。左側上顎智歯を抜歯したところ疼痛は消失し,3週間後には潰瘍も治癒した。

症例2:62歳,女性。低酸素脳症にて寝たきりで胃ろうによる栄養管理中である。病棟での口腔ケアの際,上唇の潰瘍に気付きステロイド含有軟膏の塗布を行ったが悪化したため,口腔外科に診察依頼がなされた。上顎両側中切歯は残根状態でその鋭縁による褥瘡性潰瘍が疑われた。家族の同意を得て残根歯を抜歯したところ,3週間後には潰瘍は消失した。

その後も義歯作製はできず,経過観察を続けたところ,10ヵ月後には右側舌縁に孤立歯である右側下顎第1小臼歯に起因した潰瘍を生じた。同歯を抜歯したところ,10日後に潰瘍は治癒した。

症例3:87歳,男性。急性硬膜下血腫,認知症にて寝たきりで胃ろうによる栄養管理中である。当院入院後,口腔ケアの際に右側下顎歯肉に潰瘍を認め,口腔外科に診察依頼がなされた。残存歯は右側上顎側切歯と左側下顎犬歯のみで,すれ違い咬合であった。

歯による褥瘡性潰瘍が疑われ抜歯を勧めた。しかし,家族の同意が得られずステロイド含有軟膏の塗布を続けたが潰瘍は改善せず,さらに左側上顎犬歯部歯肉にも潰瘍を生じた。再度抜歯の必要性を説明し,残存歯を抜歯した。抜歯後3週間で潰瘍は全て治癒した。

歯に起因した褥瘡性潰瘍は抜歯などの原因歯の処置が必要なため,口腔内の潰瘍については診断と治療のため,歯科医に依頼することが重要と思われる。また,特に意思疎通が困難な患者に対しては丁寧な口腔ケアを行うことで早期に病変を発見し,治療することが短期間での治癒につながると思われる。

03-08 アバンド™を併用して治療した難治性下唇潰瘍の1例

03-08 アバンド™を併用して治療した難治性下唇潰瘍の1例

全仁会高木病院 栄養科1),同 看護部2),同 口腔外科3),同 内科4)
○仲澤朱実1),村松純子1),櫻井理恵1),日永道子2),根岸恵美子2),金丸真奈美2),片山昌枝2),宮田弘子2),岩松節子2),鈴木 円3),齋藤義人4)

アバンドTMは分岐鎖アミノ酸であるロイシンの代謝産物β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(以下HMBとする)やグルタミン,アルギニンを強化したサプリメントである。HMBはたんぱく質の合成促進と体たんぱく質の分解抑制に働き,抗炎症作用を有する。グルタミンは条件付き必須アミノ酸の一種でたんぱく質とコラーゲンの合成を促進し,免疫担当細胞のエネルギー源となる。アルギニンも同じく条件付き必須アミノ酸の一種で,成長ホルモンの分泌を促し,筋肉強化,コラーゲン合成促進,免疫担当細胞の賦活化に関与する。

今回われわれは,通常の治療に抵抗性を示した難治性下唇潰瘍の患者に対しアバンドTMを併用投与し,良好な結果を得た1例を経験したので報告する。

患者は59歳の男性である。成人大脳型副腎白質ジストロフィーにより視力障害,歩行障害などの症状をきたし,平成21年2月,療養目的に当院へ転院となった。現在は全盲となり,寝たきりで意思の疎通は不可能である。同年6月より胃ろうによる経腸栄養管理を行っている。平成22年5月頃より下唇に出血を伴う潰瘍を生じ,治療を行ったが効果なく,悪化したため口腔外科に依頼された。

下唇ほぼ中央に16×40mm大の易出血性潰瘍を認めたが,周囲に硬結は触れず,歯による褥瘡性潰瘍と診断した。静脈内鎮静法を使用し,全顎の歯石除去を行うと同時に印象採得を行い,マウスガードを作製した。そして上下顎にマウスガードを装着し,ステロイド含有軟膏を塗布した。また口腔外科初診時は,Alb 3.2 g/dLで軽度の栄養不良が疑われたため,経腸栄養を900 kcal/日から1200 kcal/日に増量した。1ヶ月後,Alb 3.6 g/dLと栄養状態は上昇したが,潰瘍は改善を認めたものの治癒にはいたらなかった。そこで,アバンドTMの併用を開始したところ,2週間後には潰瘍は完全に消失し,わずかに瘢痕を認めるのみとなった。

褥瘡性潰瘍の治療には原因となる慢性刺激の除去や栄養状態の改善が必要であるが,通常の栄養素だけでなく,HMBやグルタミン,アルギニンを投与することで治癒にいたる時間を短縮できる可能性が示唆された。最近の報告からHMBやグルタミン,アルギニンはImmuno-nutritionの観点より,多くの可能性を秘めていると思われ,難治性の口腔潰瘍には原因の除去と併せ,アバンドの投与が早期治癒に有用な可能性が示された。