05-09-簡易栄養評価表(MNA)を用いた栄養評価

05-09-簡易栄養評価表(MNA)を用いた栄養評価

恵愛堂病院 栄養課1、内科2、外科3
○田島恵理子1、狩野彰子1、長澤玲子1、梅澤公彦2、山田 勲3、東郷庸史3

【はじめに】
簡易栄養評価表(以下MNAと表記)とは、1990年に国際老年学会(IAGG)で発表された高齢者の栄養状態を評価するデザインツールであるとされている。世界的にも評価を受けている栄養評価方法である。一般的に亜急性期病棟の入院患者にMNAを実施した調査では、MNAが高齢者向けに開発されたにもかかわらず、低栄養のおそれありの該当者は62.5%にものぼり、栄養状態がよくない患者は在院日数が有意に長いことが分かったという報告がある。
また、入院時の整形外科の患者は低栄養状態の人が少ないが、筋肉量の少ない高齢者は少しの間でも動かない期間があるとすぐに低栄養状態へのリスクが上がるとされている。

【調査目的】
MNAを用いての栄養評価により、療養病棟の患者の栄養状態を早期に把握することで、低栄養患者に対して栄養改善を行えるようになることを目的とした。

【調査方法】
①期間:平成23年9月1日~平成23年9月30日
②対象:療養病棟の患者と急性期病棟からの転棟患者全員
③方法:MNAを用いてスクリーニング値を算出し栄養評価を行う

【結果】
栄養状態良好が5名(5.4%)、低栄養のおそれありが18名(19.4%)、低栄養に該当が70名(75.3%)となった。MNAを用いた栄養評価では低栄養と評価された患者が75%以上になる結果となった。退院された患者が30名であり、うち栄養状態良好1名、低栄養のおそれあり7名、低栄養22名となった。また退院先は、在宅16名、転院2名、施設3名、死亡退院9名となった。

【考察】
退院患者の栄養状態は、必ずしも良好な状態ではなくとも退院しているということが分かった。しかし、低栄養のおそれありや低栄養状態で退院となる場合は、再入院のリスクが高くなることが考えられる。

【結語】
MNAを用いた栄養評価では、低栄養状態の患者の割合は予想以上に高くなった。低栄養のおそれありや低栄養の患者を把握することは、感染症の発症や、合併症を引き起こすなどのリスクを把握でき、その後を見越したケアを行うきっかけになる。臨床検査を頻繁に行えない療養病棟の患者に対してMNAを用いた栄養評価は有効であると考える。

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