01-02 イトリゾール内用液を用いた急性偽膜性口腔カンジダ症患者に対する治療

01-02 イトリゾール内用液を用いた急性偽膜性口腔カンジダ症患者に対する治療

全仁会高木病院 薬剤部1), 同 看護部2), 同 内科3), 同 口腔外科4)
○新井栄吉1),小野恵美子2),金丸真奈美2),齋藤義人3),鈴木 円4)

カンジダ属は口腔内の常在性真菌である。その病原性は強くなく,日和見感染微生物と考えられているが,生体防御機能が低下している患者や口腔衛生状態が不良な場合は口腔カンジダ症を発症することもある。口腔カンジダ症は口腔粘膜に白斑,発赤,疼痛などの症状を呈する口腔粘膜疾患であり,①急性偽膜性カンジダ症,②急性萎縮性カンジダ症,③慢性肥厚性カンジダ症,④慢性萎縮性カンジダ症に分類される。その治療は口腔内清掃,義歯の洗浄に加え,抗真菌薬の全身投与が行われることがある。抗真菌薬のひとつであるイトリゾール内用液は経口投与により全身に移行し,血中半減期が長いため1日1回の投与で持続的な効果が期待できる薬剤で,口腔カンジダ症に対する保険適応を有する。イトリゾールカプセルに比べ胃酸の影響を受けないため,安定した吸収率を示すのが特徴である。
急性偽膜性口腔カンジダ症は病変が粘膜に限局していることから抗真菌薬の局所塗布も有効とされている。そこで今回私たちは,本剤がシロップ剤である点に着目し,口腔粘膜に塗布した後,嚥下させる治療を試みた。
 対象は当院に入院中で臨床的に急性偽膜性口腔カンジダ症と診断し,真菌学的検査でカンジダ菌が同定された患者3例である。方法は冷蔵庫にて冷やしたイトリゾール内用液200mg(20mL)を1日1回,夕方の口腔ケア終了後,スポンジブラシに含ませ,病変部だけでなく口腔粘膜全体に塗布した後,嚥下可能な患者にはそのまま嚥下させた。投与期間は原則7日間としたが,必要に応じて14日間まで延長をした。その結果,2週間後には全例で病変は消失した。また,副作用により治療を中止した症例や途中で治療を拒否した症例はなかった。その後も口腔ケアを続けることで再発した症例はなかった。今後も症例を増やし,さらなる検討を行う予定である。

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