04-01-当院療養病棟に専門的口腔ケアを取り入れて
~発熱状況ならびに職員の意識変化について~全仁会高木病院 1看護部,2内科,3口腔外科
○宮田弘子1,片山昌枝1,棚橋裕子1,山田浩美1,桐渕美雪1,遠藤俊枝1,金子由加律1,高橋文野1,山崎恵美子1,赤石八重子1,齋藤愛子1,佐藤由枝1,岩松節子1,根岸恵美子1,日永道子1,金丸真奈美1,友野知江子1,齋藤義人2,鈴木 円3[緒言]
高木病院療養病棟では口腔外科開設後,歯科医師や歯科衛生士と共同で口腔ケアに取り組んできた。第2回の本研究会で発表したように,病態に応じた口腔ケアマニュアルや患者一人ひとりに対する口腔ケア指導票を作成,活用するとともに,口腔ケアに携わる全職種を対象とした講習会を行い,昨秋からは「口腔ケアカンファレンス」も2回/月で開催し,「専門的口腔ケアできれいになった口腔環境を維持する」ことをコンセプトに口腔ケアに力を注いでいる。今回は,口腔外科による専門的口腔ケアの導入前後における発熱状況と職員の意識変化について比較検討したので報告する。[対象および方法]
発熱状況については専門的口腔ケア導入前の平成19年と導入後の平成22年にともに当病棟に入院していた9名を対象に後ろ向きに検討した。
職員の意識調査は看護師,看護助手を対象に関心度,必要度,安心度,技術度についてアンケートを取り,意識の変化について調査した。[結果]
発熱状況は37℃以上の発熱をきたした延べ日数が平成19年は408日であったのに対し,平成22年は175日であった。さらに38℃以上の発熱日数に限ってみても49日から23日へと減少していた。また,抗菌薬の点滴日数は165日から25日へと激減していた。
職員の意識変化については,看護師,看護助手を問わず,関心度,必要度,安心度,技術度のいずれの項目も「大いにある」,「まあまあある」と答えた者が増加し,「ない」,「あまりない」と答えた者は著しく減少していた。自由記載欄の意見では,「病棟内の悪臭(口臭)がなくなった」,「カンファレンスで相談できるので安心」,「口の中をよく観察するようになった」,「きれいな口や患者さんの笑顔を見ると自分も嬉しい」などの肯定的な意見が多く寄せられた。[考察]
発熱や抗菌薬の点滴は全てが口腔に起因するものとは限らず,この結果のみをもって即断はできないが,口腔ケアを徹底することは発熱を減らすことができ,同時に抗菌薬の使用を減らせ,療養病棟にとってはメリットの大きいことが示された。また,職員の意識も確実に変わり,働き甲斐や,労働意欲の向上にもつながることがわかった。今後も医科と歯科が協同することで有効な口腔ケアを行い,さらには病棟単位でなく,病院全体として口腔ケアに取り組み,よりよい入院環境を提供できる病院となりたい。
04-01-当院療養病棟に専門的口腔ケアを取り入れて
Posted by shiozaki
on 2011年7月30日
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