01-01 高木病院における歯科衛生士による専門的口腔ケアの現状と効果について
全仁会高木病院 看護部(歯科衛生士)1),同 口腔外科2)
○金丸真奈美1),小野恵美子1),鈴木 円2)
平成20年1月21日,当院に口腔外科が開設された。入院や手術を必要とする口腔外科的疾患の治療を中心に診療を行っているが,他科入院患者の口腔内を回診した際,専門的口腔ケアが必要と思われる患者が多数みられたことから,専門的口腔ケアの依頼システムを構築した。
平成21年12月までの1年11ヵ月間に依頼を受けた患者は51人であった。その内訳は男性28人,女性23人,年齢は38~98歳(平均76.2歳)で,療養病棟16人,一般病棟35人(内科系26人,外科系9人)であった。対象者の状態は様々であるが意思の疎通が困難もしくは不可能な患者が43人(84.3%)と多くを占めた。口腔内の状態を評価した後,器質的口腔ケア(歯石除去を含む)と同時に機能的口腔ケアも併せて行った。評価項目は口腔内の疼痛,口臭,口腔内の乾燥,舌苔,潰瘍・びらん,口腔内出血,歯の汚れ,口腔粘膜の汚れ,歯肉の状態,義歯の汚れの10項目とし,歯科衛生士2人で評価して点数化した。
初診時と4週間後の点数を比較した結果,スコア全体の平均は6.8点から3.2点へ改善した。また,初診時に患者の多くで問題となっていた口臭は1.5点から0.2点へ,口腔乾燥は1.6点から0.4点へといずれも有意差をもって著明な改善が認められた。
専門的口腔ケアを行い口臭や乾燥が改善されてきれいになった口腔は,病棟スタッフにおける日々の基本的口腔ケアのみでも管理が容易との評価を受けている。しかし,口腔内の衛生状態が一時的に改善しても日常の口腔ケアが不十分なため,初診時と同様の不潔な口腔内環境に戻ってしまうことも少なくない。そこで,看護師による日々の基本的口腔ケアのレベルアップと,院内全体で口腔ケアの手技を統一することを目的として勉強会を行っている。基本的なブラッシング指導と使用具の選択方法などを説明すると意外にも知られていなかったため,大きな反響があった。また,症例にあわせたケアの仕方も教えて欲しいとの声も聞かれるようになった。口腔ケアは歯科衛生士の力だけでなく,病院全体として考え取り組んでいくことが重要であるため,今後も他のスタッフと協力していきたい。
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